― 東京の先進的な動きと、オーストラリアの取り組みとの比較 ―
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、子宮頸がんの原因として広く知られていますが、肛門がん、陰茎がん、咽頭がん(中咽頭がん)など、男性にも深刻なHPV関連がんを引き起こすウイルスです。
世界では今、「HPVワクチンは女子だけでなく、男子も接種するのが標準」という流れが明確になっています。日本でも、その重要な一歩がすでに始まっています。
東京と日本の前進
現在、日本ではHPVワクチンの男性接種は任意接種ですが、
東京都を中心に、自治体主導で公費助成を行う動きが広がっています。
東京都の取り組み
- 東京都は、男性へのHPVワクチン接種について、公式に情報提供を行い、制度整備を進めています。
参考:
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/info/hpv/hpvdansei
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/info/hpv/hpvdansei_info - 東京都のワクチン情報ポータルでも、HPVワクチンを含む予防接種の情報が整理され、住民への周知が進められています。
https://www.vaccine.metro.tokyo.lg.jp/
これは非常に重要な動きです。
しかし同時に、「住んでいる自治体によって受けられる医療が違う」という課題も浮き彫りになります。
オーストラリアが示すもの
オーストラリアは2013年から男女ともにHPVワクチンを定期接種として実施してきました。
接種率(15歳時点)
- 女子:約84.2%
- 男子:約81.8%
(2023年 国立免疫研究機関の公式データ)
参考:
https://ncirs.org.au/annual-immunisation-coverage-report-2023-summary/vaccination-coverage-adolescents
これらのデータは、国が責任を持って制度化すれば、男子でも高い接種率が達成できることを明確に示しています。オーストラリアでは学校でHPVワクチン接種が行われます。
なぜ日本でも「男性への公費接種」が必要なのか
① HPV関連がんは男性にも確実に存在する
HPV関連疾患は「女性のみに起きる病気」ではありません。男性の自身を守る観点からも、ワクチンが重要です。
② 公平性の問題
現在の日本では、
- 自治体によって助成の有無が異なる
- 自費の場合、費用が高額になる
という状況があります。
国として制度化しなければ、健康格差が広がることになります。
③ 社会全体の予防効果
男性が接種することで、
- ウイルスの循環が減る
- 女性の子宮頸がんリスクもさらに下がる
これは公衆衛生の観点から非常に重要な点ですです。
東京都/日本が示した取り組み、この流れを全国レベルで広げ、次の世代のHPV関連疾患を減らすための「男性へのHPVワクチンを公費で」の動きを、私は支持します。
オーストラリアの日本人医師 長島達郎




