足首の捻挫は、スポーツや日常生活の中で非常に多く見られる外傷の一つです。特に段差での踏み外し、急な方向転換、ジャンプの着地、合わない靴を履いたときなどに起こりやすく、年齢や性別に関わらず誰にでも起こり得ます。
捻挫とは、足首を安定させる靭帯が過度に伸ばされたり部分的に断裂した状態を指します。軽度であれば自然に回復することもありますが、適切な処置を怠ると関節の不安定性が残り、再発性の捻挫や慢性的な痛み、さらには関節軟骨や靭帯のさらなる損傷へとつながることがあります。そのため、痛みや腫れが強い場合や歩行が困難な場合は、自己判断せず早期に医療機関を受診することが大切です。
小児の足首の捻挫について
子どもは骨の成長過程にあるため、大人とは異なり「捻挫と思っていたら実際には骨折(骨端線損傷)」というケースも少なくありません。特に学童期から思春期にかけてはスポーツ活動も増えるため、足首の外傷が多く見られます。小児の捻挫では、骨の成長部分(成長板)が損傷を受けると将来的な変形や成長障害のリスクがあるため、より慎重な診断と対応が必要です。SkyArch Medical Clinic Brisbane では、小児の患者さんに対しても適切な診察を行い、必要に応じて整形外科専門医をご紹介します。
主な症状
- 歩行や体重をかけた際の痛み
- 足首周囲の腫れ
- 内出血(数日後に現れることもあります)
- 動きの制限やこわばり
- 不安定感
初期対応(48時間以内)
R.I.C.E.療法 を推奨します:
- 安静 (Rest):痛みを感じる動作は避ける
- 冷却 (Ice):氷や冷却材を15〜20分、2〜3時間おきに当てる
- 圧迫 (Compression):弾性包帯で軽く圧迫して腫れを抑える
- 挙上 (Elevation):心臓より高い位置に足首を上げる
Ottawa Ankle Rules(X線検査が必要かどうかの基準)
Ottawa Ankle Rules を用いて骨折の有無を確認するためにX線が必要かどうかを判断します。
以下のいずれかに当てはまる場合はX線検査が推奨されます:
足首(ankle)の場合
- 外くるぶし(外果)の後縁または先端に圧痛がある
- 内くるぶし(内果)の後縁または先端に圧痛がある
- 受傷直後および診察時に体重をかけて4歩歩けない
中足部(midfoot)の場合
- 第5中足骨基部(足の外側)に圧痛がある
- 舟状骨(足の内側中央部)に圧痛がある
- 受傷直後および診察時に体重をかけて4歩歩けない
早めに受診が必要な場合
- 強い痛みで歩行が困難なとき
- 腫れや内出血が悪化しているとき
- つま先のしびれ・感覚低下・冷たさを感じるとき
- 骨折が疑われるとき
- 小児の場合(特にスポーツ中のけが)
治療
- 診察および必要に応じた オタワルールに基づくX線検査の紹介
- 擦り傷がある場合の創処置
- テーピングやバンテージによる固定
- 痛み止めの指導や処方
- 必要に応じて理学療法士や整形外科専門医への紹介
回復の目安
- 軽度:1〜2週間で回復することが多い
- 中等度:3〜6週間程度
- 重度:数か月かかる場合があり、理学療法が必要なこともある
- 小児:骨端線損傷の有無によって治癒期間が大きく変わるため、必ず医師の指示に従う
足首の捻挫をはじめ、整形外科に関わる症状(関節痛、骨折、スポーツ外傷、筋骨格系の不調など)でお困りの際は、SkyArch Medical Clinic Brisbane にご相談ください。必要に応じて信頼できる整形外科専門医を紹介することもできます。
日本人医師:長島達郎
参考
- 日本整形外科学会「足関節外傷」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ankle_injury.html - RACGP (Royal Australian College of General Practitioners) – Ottawa Ankle Rules 解説
https://www.racgp.org.au/clinical-resources/clinical-guidelines/key-racgp-guidelines/view-all-racgp-guidelines/musculoskeletal/ottawa-ankle-rules - Queensland Health – Sprains and Strains
https://www.health.qld.gov.au/news-events/news/sprains-strains-injuries-treatment