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ブログ:日本とオーストラリアの麻疹・おたふくかぜ・風疹ワクチンの違いについて

日本とオーストラリアでは、MMRワクチン(麻疹[Measles]・おたふくかぜ[Mumps]・風疹[Rubella]の混合ワクチン)の接種に関して、ワクチンの構成や接種スケジュールに違いがあります。今回はMMRワクチンについて説明します。


オーストラリアのMMRワクチン:

  • 接種スケジュール
    • 1回目:12か月齢(MMR)
    • 2回目:18か月齢(MMRV:MMRに水痘[Varicella]を加えた四種混合ワクチン)
  • ワクチンの種類
    • M-M-R II(Merck社)やPriorix(GSK社)などを使用
    • 2回とも混合ワクチンで接種(単独ワクチンは原則使用しない)
  • その他の特徴
    • 2回接種が義務化されており、保育園・学校入学時の条件として扱われることが多い
    • 予防接種歴がない人(特に留学生や移民)には、Catch-up接種が推奨される
    • ワクチン接種率は比較的高く、麻疹の排除国(elimination status)とされている

日本のMMRワクチン:

  • 接種スケジュール
    • MR(麻疹・風疹)ワクチン:2回接種
      • 1期:1歳〜2歳未満
      • 2期:小学校入学前1年間(5〜6歳)
    • おたふくかぜワクチン(任意接種)
      • 生後12か月以降に1回(または2回)だが、定期接種ではない
  • ワクチンの種類
    • MRワクチン:定期接種
    • おたふくかぜワクチン:任意接種(自己負担)
  • その他の特徴
    • 1993年にMMRワクチン(3種混合)の使用が中止された経緯あり(おたふくかぜ成分による無菌性髄膜炎の副反応が問題視された)
    • 現在はMRとおたふくかぜが別々に接種されることが一般的
    • おたふくかぜは予防接種率が低く、流行が繰り返されている

主な違い:

  • MMRワクチン使用の有無
    • オーストラリア:MMRおよびMMRVワクチンを使用(3種混合・4種混合)
    • 日本:MMRワクチンは使用されていない。MR+おたふくかぜ単独接種が一般的
  • おたふくかぜワクチンの扱い
    • オーストラリア:定期接種(MMR/MVRの一部として)
    • 日本:任意接種(定期化されていない)
  • MMRの2回目の完了時期の違いがある

オーストラリア:

オーストラリアでは、MMRの2回目は18か月齢で完了します。これは:

  • 早期に免疫を完成させることで、保育園・幼児期の集団感染を予防し、
  • 高い接種率を保つため、スケジュールを統一して義務化・無償化しているから。

日本:

MRワクチン(麻疹・風疹)の2回目接種は小学校入学前の1年間(5〜6歳)に行われます。日本の2回目接種が遅い理由としては:

  • 過去のMMRワクチン副反応による社会的不信感と制度的慎重さ
  • おたふくかぜワクチンがいまだ定期接種に含まれていない
  • ワクチン行政における地域間のばらつき

が考えられます。


日本でMMRワクチン1回接種した子どもがオーストラリアに来た場合の追加接種について:

MMRワクチンは合計2回必要です。
日本で1回しか接種していない場合、オーストラリアではもう1回の追加接種が必要です。

オーストラリアのワクチン制度では:

  • MMRワクチンは2回接種が必須です(1回目:12か月、2回目:18か月)
  • この2回接種により、約99%以上の子どもが免疫を獲得するとされています
  • オーストラリアでは、学校・保育園に通う際に「Immunisation History Statement」(接種証明)が必要になることが多く、2回接種していないと未接種者として扱われることがあります

日本では:

  • MRワクチン(麻疹・風疹)2回:定期接種
  • おたふくかぜ:任意接種のため、1回のみ or 未接種の子も多い

よって、日本で1回のみMRワクチンを受けてきた子どもの場合:

  • オーストラリアでは、もう1回MMRワクチン(またはMMRV)を接種する必要があります
    → ※最初の接種から最低4週間空ける必要あり

水痘(Varicella)の接種歴がなければ:

  • オーストラリアでは18か月でMMRV(麻疹・おたふくかぜ・風疹・水痘)を接種するので、必要に応じてこのワクチンが勧められることもあります。

日本でMRワクチン(麻疹・風疹)は接種済み、しかしおたふくかぜ(ムンプス)ワクチンは未接種の子どもがオーストラリアに来た場合の追加接種について:

おたふくかぜ(Mumps)が必要になります。その場合、MMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹)を接種することになります。

  • 日本のMRワクチンは 麻疹(Measles)と風疹(Rubella) のみを含み、おたふくかぜ(Mumps) は含まれていません。
    オーストラリアでは、3つすべてに対する免疫が必要です。
  • 必要な接種回数:MRワクチン接種済みで、おたふくかぜ(Mumps)ワクチン未接種の場合は、
    → MMRワクチンを2回接種(最低4週間の間隔)することが推奨されます。

補足:

  • MMRワクチンの追加接種は、過剰接種とはなりません。
  • 日本での単独ワクチン(MRやムンプス単体)の履歴は、オーストラリアでもMMR接種の代替として認められています。
  • オーストラリア政府の公式ガイドラインでも、単独のワクチンとMMRの組み合わせによる接種完了が認められています。
  • 日本とオーストラリアの麻疹・おたふくかぜ・風疹ワクチンの違いについては、スカイアーチ メディカル クリニック ブリスベンにお気軽にお問い合わせください。

医師:長島達郎

 参考:

  • Australian Government Department of Health and Aged Care. (2023). National Immunisation Program Schedule. Retrieved from https://www.health.gov.au/
  • Immunise Australia Program. Measles, Mumps and Rubella (MMR) vaccine. Retrieved from https://www.health.gov.au/health-topics/immunisation/vaccines/mmr
  • 厚生労働省「予防接種情報」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000036410.html
  • 国立感染症研究所「麻しん・風しん・おたふくかぜワクチンQ&A」https://www.niid.go.jp/niid/ja/vaccine-j.html
  • 日本小児科学会「予防接種スケジュール」https://www.jpeds.or.jp/
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