前回、髄膜炎菌Bのワクチンについて解説しましたが、今回は、髄膜炎菌ACWYワクチンについて解説します。オーストラリアでは生後12か月の時に定期接種でほとんどのお子さんが髄膜炎菌ACWYワクチンを接種して髄膜炎の予防を行いますが、日本では定期接種ではないため、オーストラリアにやってきたほどんどのお子さんが接種したことがないワクチンとなります。従って、オーストラリア滞在中に接種することが強く推奨されています。
髄膜炎は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる、急性で重篤な細菌感染症です。主な症状には以下があります:
- 髄膜炎(脳や脊髄の膜の炎症)
- 敗血症(血液中の感染)
髄膜炎菌の世界的に重要な血清型(型別)は A、C、W、Y、B の5つです。
世界でのワクチン事情:オーストラリア vs 日本
比較項目 | オーストラリア | 日本 |
定期予防接種の対象 | Yes(国家免疫プログラム対象) | No(定期接種ではない) |
接種対象年齢 | 生後12か月、14〜16歳、15〜19歳のキャッチアップ | 主に渡航者や特定の持病のある人 |
ワクチンの種類(承認済) | Menveo®, Nimenrix®, MenQuadfi® | Menveo®, Nimenrix®(任意接種) |
感染の発生頻度 | 中程度(0.5~2.4/10万人) | 非常に低い(0.001~0.039/10万人) |
主な流行株 | W、Y型が中心 | Y型とB型が中心 |
公費助成 | Yes(対象者は無料) | No(自己負担) |
オーストラリアでの髄膜炎菌ACWYワクチン接種スケジュール(National Immunisation Program)
- 生後12か月:定期接種(無料)
- 14〜16歳:学校での集団接種
- 15〜19歳:キャッチアップ接種(無料)
- 2か月以上の高リスク者:医師の判断で接種可能
感染リスク
- 感染率は低〜中程度ですが、集団感染のリスクあり。
- 特にW型は重症化や致死率が高く注意が必要。
- 乳児、思春期、基礎疾患のある人が高リスク。
日本での情報
定期接種ではない
- 髄膜炎菌ACWYワクチンは日本の定期予防接種に含まれていません。
- 任意接種(自費)として利用可能:
- 海外渡航予定者
- 無脾症や免疫低下状態の方
- 特殊な集団生活者(留学・寮生活など)
感染リスク
- 非常に稀な感染症ですが、致死率は約**12%と高い。
- 一般人の保菌率も低く(1%未満)、国内での集団発生はまれ。
- ただし、大規模イベント(例:2015年スカウトジャンボリー)での発生歴あり。
日本からオーストラリアへ来たお子さんへの注意点
- 日本ではワクチン未接種の可能性が高い。
- オーストラリアは日本より感染率が高く、異なる血清型が流行。
- 渡航・移住後は早めの接種が推奨されます。
特に接種を検討すべき人
- オーストラリアで学校・保育園に通う予定のあるお子さん
- 思春期(14〜19歳)のお子さん
- 集団生活や留学、スポーツキャンプなどに参加する場合
- 高リスクの基礎疾患がある方
まとめ
- 日本では定期接種されていないため、オーストラリア滞在中に接種することが強く推奨されています。
- 髄膜炎菌ACWYワクチンはスカイアーチ メディカル クリニック ブリスベンで受けることができます。お気軽にご相談ください
参考資料
https://immunisationhandbook.health.gov.au/contents/vaccine-preventable-diseases/meningococcal-disease
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.immunize.org/wp-content/uploads/vis/japanese_meningococcal.pdf