子宮頸がんの多くは 高リスク HPV(ヒトパピローマウイルス)感染 が原因です。世界保健機関(WHO)などは HPV DNA 検査(PCR検査) を一次スクリーニングとして推奨していますが、日本では従来 細胞診(Pap 検査)中心 の体制が長く続いてきました。
現在、日本でも HPV PCR 検査を 自治体健診に導入しようとする動き が本格化し、将来的な検診制度改革への「希望の方向」が見えてきています。
HPV PCR 検査(HPV 検査単独法)の自治体導入状況(2025 年時点)
厚生労働省が公表した最新資料では、自治体検診における HPV 検査単独法 の導入状況がまとめられています。
厚生労働省「HPV検査単独法の導入状況について」では:
- すでに導入している自治体:4
- 令和 7 年度(2025)に導入予定:5
- 令和 8 年度(2026)に導入予定:31
- 令和 9 年度以降導入予定:23
- 導入予定だが時期を検討中:278
- 導入未定・検討中:多数
という状況が報告されています。準備が整った自治体では順次導入が進んでおり、令和 8 年度以降に導入予定の自治体が増加していることが分かります。
-厚生労働省資料(PDF):https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001507384.pdf
ポイント:
現時点(2025 年)では HPV PCR 検査の自治体健診導入件数はまだ少数ですが、全国的な導入拡大に向けた動きが見えてきているという状況です。
HPV 自己採取(self-collection)の研究と今の立場
現時点、日本では 自治体検診で HPV PCR の自己採取が公式に導入された事例はありません。しかし、国内外で HPV 自己採取に関する研究が進んでおり、受診率向上につながる可能性が示されています。
実際に、日本で行われた研究では、
- HPV 自己採取キットの返送率が高く、検診未受診者の参加率改善が示された例があります(例:24 歳対象調査)。
-国立衛生研究所(PMC)「Japanese self-sampling HPV study」: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30219839/
別の研究でも、
- 自己採取と医療者採取の HPV 検査結果の一致率(concordance)が高い と報告されています。
-PMC 論文「HPV self-sampling concordance study」: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26919866/
そして、最近のレビューでも、
- 自己採取 HPV PCR は 参加率向上に有効 という海外データを含めた評価が出ています。
-Frontiers in Public Health(2022年メタ分析): https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2022.1003461/full
しかし重要な点:
日本ではまだ 自治体の公式検診として「自己採取 HPV PCR」が導入された例はありません。つまり、政策としては 研究/試行段階であり、全国的な標準検診に組み込まれているわけではない のが現状です。
千葉県などで進む取組の例(研究・試行)
自治体・研究機関による取り組みとして、千葉県保健所などで HPV 自己採取の受診率向上効果を分析する研究 が進められています。
千葉県の調査では:
- 自己採取 HPV 検査を導入したグループで 検診参加率が約 3.1 倍に改善 した可能性が報告されています。
-千葉県健康づくり研究ページ(自己採取 HPV): https://www.kenko-chiba.or.jp/cyousa/pageHPV/?utm_source=chatgpt.com
このような研究はまだ自治体標準検診の導入には至っていませんが、将来の選択肢として期待される動きです。
日本の HPV検査・スクリーニング制度の現状
厚生労働省や国立がん研究センター(NCC)の情報によれば、HPV PCR 検査は 自治体健診に導入可能 になりつつあり、要件を満たした自治体では実施が進んでいます。
-がん情報サービス「HPV検査単独法リーフレット」: https://canscreen.ncc.go.jp/for_pic/leaflet_detail/primary_hpv_screening.html
対策型検診指針でも HPV 検査単独法は 推奨検診法として追加 されています。
-厚生労働省「HPV検査単独法による子宮頸がん検診の導入資料(PDF)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001283555.pdf
希望の方向:HPV 検査制度の進化
2025–2026 年現在の現状 として:
- 自治体レベルでの HPV PCR 検査導入は増加傾向 にある。
- 公式には自己採取が導入されていない が、研究や試行導入が進んでいる。
- 国内でも自己採取が「参加率改善に寄与する可能性」が示されている。
つまり、日本でも より効果的な子宮頸がん検診システムへの転換に向けた基盤が整いつつあり、将来的には HPV 自己採取のような新しい選択肢が公式制度として整備される可能性がある — これが今の 「希望の方向」 です。
オーストラリアで働く日本人医師:長島達郎
参考:
- 厚生労働省「HPV検査単独法の導入状況について」
🔗 https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001507384.pdf - PCM: Japanese self-sampling HPV test study
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30219839/ - HPV self-sampling concordance study (日本)
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26919866/ - Frontiers in Public Health – HPV self-sampling meta-analysis
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2022.1003461/full - NCC がん情報サービス – HPV検査単独法リーフレット
🔗 https://canscreen.ncc.go.jp/for_pic/leaflet_detail/primary_hpv_screening.html - 厚生労働省「HPV検査単独法による子宮頸がん検診の導入」
🔗 https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001283555.pdf
千葉県 HPV 自己採取調査ページ
🔗 https://www.kenko-chiba.or.jp/cyousa/pageHPV/?utm_source=chatgpt.com




