アドバンス・ケア・ディレクティブとは
アドバンス・ケア・ディレクティブ(ACD)は、
ご自身が将来、病気やけがなどで意思表示ができなくなったときのために、
どのような医療やケアを望むかを記録しておく文書です。
この文書には、以下のような内容を記載することができます。
- 心肺蘇生や人工呼吸、栄養チューブなどの延命治療を希望するかどうか
 - 自分にとって大切な価値観(「自宅で過ごしたい」「苦痛をできるだけ避けたい」など)
 - 自分の代わりに医療判断をしてほしい人(代理意思決定者:Substitute Decision Maker, SDM)の氏名と連絡先
 
GP(かかりつけ医)と一緒に作成
GPはあなたの健康状態や既往歴をよく知っているため、
次のようなサポートができます。
- 現在の病状や将来予想される経過を分かりやすく説明
 - どのような医療が現実的か、治療選択のメリット・デメリットを一緒に検討
 - 正式な書式に沿って法的に有効な形で記録
 - 完成後、家族や病院、My Health Recordへの共有をサポート
 
これにより、ご家族や医療チームがあなたの意思を尊重しやすくなります。
作成のタイミング
アドバンス・ケア・ディレクティブは、いつでも作成できます。
特に以下のような場合におすすめです。
- 慢性疾患や持病がある場合
 - 高齢になってきたと感じるとき
 - 入院や施設入所を予定しているとき
 - 元気なうちに自分の希望を明確にしておきたいとき
 
法的効力について
クイーンズランド州では、「Advance Health Directive (AHD)」という正式名称で認められており、
Powers of Attorney Act 1998 (Qld) に基づいた法的効力を持ちます。
GPが正しい書式を用意し、署名・立会人のもとで手続きを行うことで、
正式な文書として有効になります。
作成後の扱い
作成後は以下のように保管・共有します。
- 原本はご自身で安全な場所に保管
 - コピーをGP、家族、代理意思決定者、病院に渡す
 - My Health Record に登録することで、どの医療機関でも確認可能
 
また、内容をいつでも変更・撤回することが可能です。
希望が変わったときは、必ずGPにお知らせください。
アドバンス・ケア・ディレクティブは、
「もしものときに自分の意思を尊重してもらうための準備」です。
作成をご希望の方は、どうぞGPにご相談ください。
医師が一緒に内容を検討し、正式な書類作成をサポートいたします。
日本人医師:長島達郎
参考:
- Australian Government – Advance Care Directive
https://www.health.gov.au/topics/palliative-care/planning-your-palliative-care/advance-care-directive - Advance Care Planning Australia (by Austin Health)
https://www.advancecareplanning.org.au/ 
- Queensland Government – Advance Health Directive (AHD)
https://www.qld.gov.au/law/legal-mediation-and-justice-of-the-peace/power-of-attorney-and-making-decisions-for-others/advance-health-directive - Queensland Health – Advance Care Planning Forms
https://www.qld.gov.au/health/support/advance-care-planning/forms 




