2025年 オーストラリアのインフルエンザワクチン情報を紹介します。
2025年のオーストラリアにおける季節性インフルエンザワクチンは、4価ワクチン(QIV)であり、以下の世界保健機関(WHO)が推奨する南半球向けの4つの株が含まれています:
- A/Victoria/4897/2022 (H1N1)pdm09類似株
- A/Croatia/10136RV/2023 (H3N2)類似株
- B/Austria/1359417/2021(B/ビクトリア系統)類似株
- B/Phuket/3073/2013(B/山形系統)類似株
B/山形系統株は世界的に流行が少ない状況が続いていますが、2025年も一部のワクチンで引き続き含まれています。
毎年インフルエンザワクチンが必要な理由
- ウイルスは毎年変異します
インフルエンザウイルスは「抗原変異」を頻繁に起こすため、前年のワクチンでは十分な効果が得られない可能性があります。 - ワクチンの効果は時間とともに減衰します
ワクチンによって得られる免疫は数か月で低下するため、毎年の接種が必要です。 - 重症化予防
ワクチン接種により、以下のリスクが低減されます:
・入院
・肺炎
・慢性疾患の悪化
・高齢者や基礎疾患を持つ方の死亡 - 周囲の人々を守る(集団免疫)
接種することで、乳幼児、高齢者、妊婦、免疫が弱い方など、重症化しやすい人々を守ることにつながります。
日本で接種したワクチンとオーストラリアでの再接種について
2024年に日本でインフルエンザワクチンを接種していても、2025年のオーストラリアのインフルエンザシーズン(6~9月)に滞在する場合は、現地のワクチンを改めて接種することが推奨されます。その理由は以下の通りです:
- 流行時期が異なる:
日本:12月~2月 / オーストラリア:6月~9月 - 含まれるウイルス株が異なる:
南半球向けにアップデートされた株が使用されています。 - 免疫の持続期間が限られる:
ワクチンによる免疫は約6か月で減衰するため、シーズンに合わせた再接種が望まれます。
最近インフルエンザにかかった人も、ワクチン接種が勧められます
最近インフルエンザにかかったとしても、シーズン中のどこかのタイミングでワクチンを接種することが推奨されます。その理由は:
- 自然感染では1つの型にしか免疫がつかない可能性がある(例:H3N2には感染して免疫ができても、H1N1やインフルエンザBには効果がない)
- ワクチンは複数の株に対して広くカバーしている
- 自然感染で得られる免疫は個人差が大きく、持続期間も不確実
接種のタイミング:
急性期を過ぎて、体調が安定していれば、待機期間なしで接種可能です。
まとめ
- 毎年のインフルエンザワクチンは、ウイルスの変異や免疫の低下、渡航先での流行株の違いを考慮して非常に重要です。
- 海外で感染・接種を受けた方も、その年のオーストラリアのワクチンを受け直すことが推奨されます。
- インフルエンザワクチンをご希望の方はスカイアーチ メディカル クリニック ブリスベンにお気軽にお問い合わせください。
医師:長島達郎
参照:
- Australian Technical Advisory Group on Immunisation (ATAGI). Statement on the Administration of Seasonal Influenza Vaccines in 2025. Department of Health, Australia.
- Australian Immunisation Handbook. Influenza (Flu). Australian Government Department of Health.
- World Health Organization (WHO). Recommendations Announced for Influenza Vaccine Composition for the 2025 Southern Hemisphere Influenza Season.