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体部白癬(たむし)、Tinea (Ringworm on the Body)について

体部白癬(たいぶはくせん、英語名:tinea corporis)は、皮膚に起こる一般的な真菌感染症(カビの一種)です。
「ringworm(リングワーム)」とも呼ばれますが、虫による病気ではありません。
皮膚にできる「赤い輪のような形の発疹」が名前の由来です。

この病気は誰にでも起こりますが、特に暖かく湿った環境でかかりやすく、人や動物との接触、タオルや寝具の共用などで広がります。命に関わる病気ではありませんが、かゆみや不快感を伴い、放置すると広がることがあります。

症状

  • 赤くて丸い、または楕円形の発疹
  • 発疹の中心部は比較的きれいで、周囲が盛り上がる
  • かゆみやカサつきを伴う
  • 発疹が広がり、いくつも輪ができる場合がある

感染の経路

  • 感染者との皮膚接触
  • 犬・猫・モルモットなど感染したペットから
  • タオル・衣類・帽子・寝具の共用
  • ジムやプール、更衣室などの湿った環境

かかりやすい職業・環境

体部白癬は誰でもかかる可能性がありますが、以下のような方は特にリスクが高いとされています:

  • スポーツ選手(レスリング、柔道、ラグビーなど接触の多い競技)
  • 農業従事者や動物関連の仕事(家畜・ペットとの接触が多い)
  • ジム・フィットネス関連の職業(汗をかきやすく、共同施設を利用)
  • 建設・現場労働者(汗や湿気がこもりやすい環境)
  • 軍隊や寮生活など共同生活を送る人(タオルや寝具の共用による)

治療

1. 外用抗真菌薬(第一選択)
ほとんどの場合、抗真菌クリームやローションで十分に治ります。

  • 代表的な薬剤: クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、テルビナフィン など
  • 使用方法:
    • 発疹部分とその周囲約2cmに、1日1~2回塗布
    • 発疹が消えてからも1週間は継続することが大切
    • 治療期間は通常 2~4週間
  • テルビナフィンクリームは比較的早く効果が出ることがあります(1~2週間程度)

2. 内服抗真菌薬(重症例や広範囲の場合)
以下のような場合は飲み薬が必要になることがあります:

  • 発疹が広範囲に広がっている
  • 外用薬を使っても改善しない
  • 免疫力が低下している
  • 頭皮や爪など、塗り薬が届きにくい部位に感染している
  • 代表的な薬剤: テルビナフィン(1〜2週間)、イトラコナゾール(約1週間)、フルコナゾール(週1回を数週間)
  • いずれも処方薬であり、肝機能検査や薬の飲み合わせを確認する必要があります

自宅でできる予防とケア

皮膚を清潔かつ乾燥した状態に保つ
衣類・タオル・寝具をこまめに洗濯
他人とタオルや衣類を共有しない
通気性の良い綿素材の服を着る
公共のシャワーやプールではサンダルを履く
ペットに脱毛やかさぶたがあれば獣医で診察を



当院では、オーストラリアの治療ガイドライン(ETG)に基づいた診療を行っています。気になる発疹がある方は、スカイアーチ メディカルクリニック ブリスベンにお気軽ご連絡ください。。

参考

  • Therapeutic Guidelines, Dermatology: Tinea (Dermatophytosis). ETG complete.
    https://www.tg.org.au
  • Healthdirect Australia – Ringworm (Tinea)
    https://www.healthdirect.gov.au/ringworm
  • DermNet NZ – Tinea corporis (Body ringworm)
    https://dermnetnz.org/topics/tinea-corporis
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